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デザイン組織のつくりかた|7Sを使った分析方法と実践ステップを紹介

近年、企業ではデザインの重要性が高まり、事業戦略やプロダクト開発の上流工程からデザインを活用する動きが広がっています。

しかし、「デザイン組織をどのように立ち上げ、成長させていけばよいかわからない」と悩む企業も少なくありません。

そこで有効となる手段が組織分析のフレームワークである「7S」です。これは、3つのハードSと4つのソフトSに分類し、組織づくりを体系的に整理するアプローチです。

デザイン組織をつくるときの核となる7Sフレームワーク

<3つのハードS>
・Strategy(戦略)
・Structure(組織構造)
・System(システム)

<4つのソフトS>
・Shared Value(共通の価値観)
・Style(経営スタイル、社風)
・Staff(人材)
・Skills(能力)

本記事では、7Sフレームワークを活用したデザイン組織のつくりかたや実践プロセス、デザイン組織づくりの成功事例、企業がデザイン組織をつくるときのポイントを紹介します。

デザイン組織をどのように立ち上げて拡大していくのか理解するためにも、ぜひ参考にしてください。

デザイン組織のつくりかたは7Sフレームワークで考える

デザイン組織のつくりかたを体系的に整理するには、「7Sフレームワーク」の活用が有効です。

これは、1970年代後半にアメリカのコンサルティング会社であるマッキンゼー・アンド・カンパニーが提唱した、組織分析のための方法です。

7Sでは、企業の経営資源を「Strategy・Structure・System」の3つのハード面と、「Shared Value・Style・Staff・Skills」の4つのソフト面に分類します。

7つの要素は、互いに影響し合う関係にあります。特定の起点はなく、デザイン組織づくりでは戦略や組織構造、人材など、どの要素からでも検討を始められます。

ハードSへの3つのアプローチ

ハードSは、組織づくりの基盤をつくる要素です。ここでは、3つのハードSへのアプローチをご紹介します。

ハードSの要素

概要

Strategy(戦略)

事業の目標達成に向けて、限られた経営資源を有効活用しながら事業計画や行動指針を検討する要素

Structure(組織構造)

事業部別・機能別の構造や部署間の関係、指揮命令系統など、組織を形成する仕組みをつくる要素

System(システム)

業務を適切に遂行して組織を動かす仕組みをつくる要素

1.Strategy(戦略)

「Strategy(戦略)」は、事業の目標達成に向けて、限られた経営資源を有効活用しながら事業計画や行動指針を検討する要素です。

【Strategyの分析ポイントの例】

・事業の方向性
・経営資源の配分
・優位性
・戦略の優先順位 など

デザイン組織づくりでは、サービス戦略やプロダクトのコンセプト、ビジョンづくりをデザインと結びつけることが大切です。

従来、事業戦略とデザイナーの仕事は切り離されていました。しかし、予測が不可能で不確実性の高いVUCA時代では、既存のビジネスモデルでは通用しないケースも見られます。

顧客に選ばれ続ける勝ち筋を見出すためには、人々の生活や行動の背景にある本質的な課題に応える「顧客体験」設計を重視する必要があります。

デザイナーの観察力を生かしたユーザー中心のプロダクト開発、課題の発見力を生かした新規事業の立ち上げなど、戦略レベルから取り入れることで組織全体にデザインの力を浸透させていきます。

2.Structure(組織構造)

「Structure(組織構造)」は、事業部別・機能別の構造や部署間の関係、指揮命令系統など、組織を形成する仕組みをつくる要素です。

【Structureの分析ポイントの例】

・総務部や営業部など、事業・機能ごとの構造
・部署間の関係
・指揮命令系統
・権限の配分 など

デザイン組織のつくりかたでは、デザイナーの配置を決めることが大切です。具体的には主に3つの組織構造があり、それぞれ特徴が異なります。

モデル

特徴

メリット

デメリット

中央集権型

デザイン部など専門部署にデザイナーを集約

・デザイン品質の維持・向上
・ナレッジ共有の活発化
・教育体制の構築

・事業部との距離感
・開発スピードの低下リスク

分散型

各事業部やプロダクトチームにデザイナーを直接配属

・開発スピード向上
・ビジネスへの深い理解
・強い当事者意識

・デザイナーの孤立
・デザイン品質のばらつき
・客観的評価の困難さ

マトリクス型

事業部に所属しつつ、職能別の横のつながりも持つ

・専門性とスピードの両立
・品質の横串管理

・指揮系統の複雑化
・評価制度の運用難易度が高い
・組織の習熟が必須

ReDesigner(リデザイナー)が100社を対象に、企業のデザイン投資やデザイナーの働き方を調査した「ReDesigner Design Data Book 2024」によると、事業部にデザイナーが所属する「分散型」が30%と、最も多い割合となりました。

デザインセンターを設置する「中央集権型」が25%で続き、2022年と比べて増加傾向にあります。

ただし、これはあくまで近年のトレンドを示したものです。デザイン組織づくりでは、自社のフェーズや事業の特性に合わせて、どの構造が適しているのかを分析することが重要です。

▼3つのデザイン組織モデルは、下記で詳しく紹介しています
デザイン組織とは?必要性や種類、構築事例・AI時代の組織体制などを解説

3.System(システム)

「System(システム)」は、業務を適切に遂行して組織を動かす仕組みをつくる要素です。

【Systemの分析ポイントの例】

・社内の管理・情報システム
・業務フロー
・人事評価
・給与体系
・教育・育成制度 など

デザイン組織づくりには、明確な制作フローや評価項目の策定が欠かせません。仕組みが整備されていない場合、担当者によって業務の進め方や評価基準にばらつきが生じる可能性があるためです。

たとえば、デザイン組織では、デザイナーに特化した評価制度づくりが求められます。しかし現状では、エンジニアや所属している事業部の評価制度を使用するケースが一般的です。

専門性が正当に評価されない仕組みはデザイナーの不満につながり、離職を招く恐れがあります。そこで、デザイナーへの期待値を明確化した評価制度を構築することが重要です。

ReDesigner Design Data Book 2024」によると、デザイナー独自の評価システムを構築している企業は45%という結果となりました。

構築していない企業(55%)よりも低い割合ではありますが、2022年の23%から大幅に増加しています。

もちろん、評価制度以外にも、デザイナーのスキルアップ制度や使用ツールの環境整備など、業務を適切に遂行できる仕組みづくりが求められます。

▼デザイナーの評価制度の作り方は、下記の記事で解説しています
デザイナー評価制度の重要性と今から作成するための4つのステップ

ソフトSへの4つのアプローチ

続いて、デザイン組織づくりにも欠かせない4つのソフトSへのアプローチをご紹介します。

ソフトSの要素

概要

Shared Value(共通の価値観)

経営層やすべての従業員が同じ方向に向かって事業を推進するための組織理念、共通の価値観を検討する要素

Style(経営スタイル、社風)

組織の雰囲気や経営スタイルなどを検討する要素

Staff(人材)

従業員の職種構成や人数、採用・育成、配置などを検討する要素

Skills(能力)

従業員個人の能力だけでなく組織が保有している技術力も含めて可視化する要素

デザイン組織を効果的に機能させるには、ハード面だけでなくソフト面も含めて考えることが重要です。どのような要素を意識しなければならないのか参考にしてみてください。

1.Shared Value(共通の価値観)

「Shared Value(共通の価値観)」は、経営層やすべての従業員が同じ方向に向かって事業を推進するための組織理念、共通の価値観を検討する要素です。

【Shared Valueの分析ポイントの例】

・会社のビジョン・ミッション・バリュー
・従業員の価値観
・行動規範 など

デザイン組織でのShared Valueの一例としては、ユーザー中心設計やデザイン思考などが考えられます。

ユーザー中心設計とは、ユーザーにとって心地よい体験を提供できるようにサービスやプロダクトの理想的な状態を設計することです。ユーザー中心の視点から新しい価値を生み出し、事業・商品開発に生かすアプローチが「デザイン思考」と呼ばれています。

デザイン組織づくりではこうした考えを共通の価値観として言語化し、組織に浸透させることが重要です。

そもそもデザインの仕事は、企業の目的や戦略など、抽象的な概念を深く理解したうえで、サービスやプロダクトへ落とし込む必要があります。

ビジョン・ミッション・バリューを言語化し組織にインストールすることで、誰もが同じ方向を向いてデザインに取り組みやすくなるでしょう。

2.Style(経営スタイル、社風)

「Style(経営スタイル、社風)」は、組織の雰囲気や経営スタイルなどを検討する要素です。

【Styleの分析ポイントの例】

・社風
・カルチャー
・経営方針
・トップダウン・ボトムアップなどの経営スタイル
・仕事の取り組み方 など

自社の経営や社風にデザインの必要性、デザインの活用方法などを落とし込み、それが浸透していくように工夫をしていきます。

とくに「デザイン思考」や「デザイン力の活用」など新しい価値観は、制度を変えるだけでは自然に広がりません。そこで、社風やカルチャーを自社に浸透させる取り組みを含めて検討しなければなりません。

たとえば、メンバー同士が、1対1で定期的に実施するミーティング「1on1」などが検討できるでしょう。

デザイン組織を設置している「グッドパッチ」では1on1を取り入れ、マネージャーとメンバーが目標の達成状況や課題、今後取り組みたいことを話し合う機会を設けています。

こうした取り組みが、メンバーと組織の双方がバランスを取りながら成長できる環境づくりにつながっています。

このように、Styleでは自社のデザイン組織らしさを丁寧に言語化して浸透させる取り組みが重要になります。

3.Staff(人材)

「Staff(人材)」は、従業員の職種構成や人数、採用・育成、配置などを検討する要素です。

【Staffの分析ポイントの例】

・保有スキルやモチベーションなどを踏まえた人材の採用・教育
・人材マネジメント
・キャリア開発 など

事業成長に貢献するデザイン組織を構築するために、まずはデザイナーの採用に向けた取り組みを検討することが重要です。

しかし、デザイナー採用には特有の難しさがあります。デザイン業務は専門性が高く、同じデザイナーという職種でも企業によって担当領域や求められる役割が異なり、採用要件を言語化することは容易ではありません。

また、市場にいるデザイナーの数が限られているため、自社の求めるデザイナーとなかなか出会えないなどの課題があります。

こうしたデザイナーの特性を分析したうえで、採用活動に取り組むことが成功への近道です。

▼デザイナーの採用や具体的な採用方法は、下記で詳しく紹介しています
デザイナー採用とは?現状と必要性、具体的な方法まで基礎知識を徹底解説
【2026年最新】デザイナーの採用方法・手法11選-自社に合う採用法を決めるポイント

4.Skills(能力)

「Skills(能力)」は、従業員個人の能力だけでなく組織が保有している技術力も含めて可視化する要素です。

【Skillsの分析ポイントの例】

・従業員の能力
・組織全体の技術力、販売力、マーケティング力、リサーチ力 など

デザイナーが保有しているスキルを深く理解するには、スキルマップの作成がおすすめです。下記のようにデザイナー自身のスキルについて、「デザイン」や「リサーチ」などの要素ごとに、現状(Can)と今後挑戦したい領域(Will)を可視化します。

スキルマップの活用によって、デザインに詳しくない担当者でも、デザイナーが自社の課題に対しどのように貢献するのかを把握しやすくなります。

このように、各デザイナーのスキルを可視化したうえで、組織全体としてどの領域に強みがあり、どこに不足があるのかを確認します。

個人の能力(Can)と志向(Will)を踏まえて役割配置や育成方針を設計することで、デザイナーのパフォーマンスを最大化するだけでなく、組織としての技術力や競争力の底上げにもつなげていきます。

フェーズ別|デザイン組織のつくりかた

7Sフレームワークを活用することで、デザイン組織づくりに必要な要素を整理できます。まずは組織の基盤となるソフトSから取り組みを始め、組織としての風土を整えていきましょう。

ここでは、デザイン組織のつくりかたを3つのフェーズに分類して紹介します。

【フェーズ別のデザイン組織のつくりかた】

・フェーズ1:ソフトSで基盤を構築
・フェーズ2:組織としての風土を整える
・フェーズ3:成長に伴い組織の見直しをする

フェーズ1:ソフトSで基盤を構築

デザイン組織づくりは、ソフトS(Shared Value・Style・Staff・Skills)から取り組みましょう。既存の組織では、戦略や組織構造、システムなどのハードS(Strategy・Structure・System)を大きく変革することは容易ではないためです。

各組織には固有の「型」があり、デザイン組織を構築してチームを機能させるノウハウが最初から備わっているわけではありません。デザイン組織は、個別の企業文化のうえに成り立っていくものです。

デザイン組織づくりに必要な要素を浸透させるには、ソフトSのなかでも「Staff(人材)」へのアプローチが鍵となります。

適切な人材配置・採用・育成を通じて新たな共通の価値観がチームや組織へ徐々に浸透して、デザイン組織が形成されていくでしょう。

デザイン組織の人材不足にお悩みの場合は「ReDesigner」にご相談ください

デザイン組織をつくりたいものの「デザイナーが不足している」「採用に割けるリソースがない」と感じている場合は、デザイナー採用に特化した採用プラットフォーム「ReDesigner」をご活用ください。

ReDesignerは、デザイン会社であるグッドパッチが始めたサービスです。

デザインに対する深い理解があるので、企業様の負担を軽減しながら自社に合うデザイナー採用を支援します。

また、デザイナー採用時の採用要件の定義や期待値調整などでつまずかないように、デザイナー採用に知見のあるメンバーが伴走している点も特徴です。詳しいサービスの詳細をまとめた資料をぜひご覧ください。

フェーズ2:組織としての風土を整える

次は、デザイナー採用活動を通じて一定の人材がそろい、デザイン組織として風土を育てていくフェーズです。ここでは、ハードS(Strategy・Structure・System)にも段階的にアプローチしていきます。

具体的には、デザイン組織を単なる制作部門ではなく、事業成長を支える「戦略的パートナー」として位置付けることが重要です。上流工程の戦略設計からデザインが関与する仕組みを構築し、デザインの視点を経営に活かします。

さらに、事業成長や規模、企業の特性に応じて、デザインセンターの開設やCDO※1・CXO※2のポスト設置、デザイナー独自の評価制度構築などの基盤整備を進めていきましょう。

※1 CDO:Chief Design Officerの略。デザイン戦略推進や採用・教育、デザイン組織の構築などに取り組む役職

※2 CXO:Chief Experience Officerの略。上流工程からプロダクトデザインに携わり、ユーザーストーリーに沿って監修や決定を行う役職

フェーズ3:成長に伴い組織の見直しをする

デザイン組織は、事業成長や人数の増加に伴い、求められる構造やマネジメントのあり方が変化するため、定期的に見直しをします。

たとえば、30人規模の組織では、目の前の事業課題を解決できる即戦力人材の確保が優先されやすくなります。

しかし、60人規模に成長すると、同じ考え方では組織がうまく機能しなくなる可能性も否定できません。この段階では、スキルだけでなく価値観やマインド面を重視した組織づくりが重要となります。

また、組織が拡大するとマネジメントの方法も変化し、従来の管理体制では限界が生じることもあるでしょう。

その場合、デザインマネージャーはチームメンバーの育成と品質管理の双方を担い、デザインコーチの設置などを含めたマトリクス型での組織運営体制への移行が求められるケースもあります。

デザイン組織づくりの成功事例

デザイン組織づくりは、2018年の特許庁による「デザイン経営」宣言をきっかけに、スタートアップ企業を中心に経営レベルでの取り組みとして広がりました。

その後、デザイン組織を伝統的に抱えてきた製造業でも、組織再編やデザイナー出身の執行役員の登用など、デザイン経営を取り入れる動きが見られるようになっています。

デザイン組織のつくりかたは、企業規模など個々のケースによってさまざまです。ここでは、参考となる4つの成功事例をご紹介します。

デザイン組織づくりの成功事例一覧

株式会社マネーフォワード

デザイナー主導の「Design Leads」から組織づくりを開始し、CDO設置とデザイン戦略室の立ち上げによって全社的なデザイン推進体制を構築

ラクスル株式会社

デザイン組織解散の経験を踏まえ、デザイン推進室を設立。デザイン思考を軸に組織体制とブランド価値の強化を推進

パナソニック株式会社

縦割り組織に分散していたデザイナーを集約し、グループ横断のデザイン本部を設立。デザインが求められる背景やプロダクトの意味を掘り下げ、ブランドのあるべき姿を各事業へと落とし込むプロセスを構築

富士フイルム株式会社

分散していたデザイナーを集約してデザインセンターを設立。現在はブランドや事業デザインまで担う組織へと発展

株式会社マネーフォワード|デザイナー主導で組織づくりを推進し「デザイン戦略室」を設置

株式会社マネーフォワードのデザイン組織づくり

立ち上げの背景

プロダクトとデザイナーの増加によって、事業部ごとにデザインチームが分散。デザインルール整備をきっかけに、組織的な取り組みの必要性が認識された

立ち上げの取り組み

デザイナー主導の会議体「Design Leads」を発足し、経営層とともに全社のデザイン課題を議論。2020年にCDOとデザイン戦略室を設置

デザイン組織の拡大

デザイン戦略室がブランド戦略や採用を担うハブとして機能。現在はグループ全体で100名以上のデザイナーが在籍

経理、人事労務、確定申告など数多くの領域でプロダクトを展開する株式会社マネーフォワードは、プロダクトとデザイナーの増加に伴い、2020年に「デザイン戦略室」を立ち上げました。

立ち上げ前は、事業部ごとに複数のデザインチームが点在している状態でした。しかし、社内ワークショップの開催時に、デザイン課題を解決するために組織的な取り組みが必要だと分かり、デザイナー主導で組織づくりを進める「Design Leads」が発足

Design Leadsでは経営層を巻き込みながら全社的な課題が議論され、2020年にはデザイン戦略室とCDOを設置しています。

その後、「デザインの力を最大化し、マネーフォワードの目指す社会を実現する」をゴールに掲げ、4つの視点で指標と3年間のアクションプランを策定しました。

【マネーフォワードが重視した4つの視点】

・経営
・デザイン組織
・プロダクトデザイン
・ブランディング

2026年時点では、グループ全体で100名以上のデザイナーが在籍し、デザイン戦略室はグループ全体のブランド戦略や採用などを担うとともに、各事業のハブとして機能しています。

ラクスル株式会社|一度は解散したデザイン組織を復活させて「デザイン推進室」を設立

ラクスル株式会社のデザイン組織づくり

立ち上げの背景

以前設置した「クリエイティブ部」は目的が十分に共有されず半年で解散。また、BtoBサービスでは「利便性があればデザインは重視されにくい」という意識が社内に残っていた

立ち上げの取り組み

デザイン組織のあるべき姿や提供価値を再定義し、2021年に「デザイン推進室」を設立。2022年にはVP of Designのポジションを新設し、組織体制を強化

デザイン組織の拡大

デザイン思考を全社的に推進し、顧客起点で課題設定を行う体制を構築。セルフブランディングや採用強化を進め、ブランド構築やイノベーションにも貢献するデザイン組織へと発展

ネット印刷や広告事業などを展開するラクスル株式会社は、2021年にデザイン推進室を設立し、デザイナーが中心となり「デザイン思考」を全社的に推進しています。

同社では以前「クリエイティブ部」を設けたこともありましたが、目的が十分に共有されていなかったことが原因で半年で解散する結果となりました。

そこでデザイン組織のあるべき姿や提供できる価値を再定義し、後身となる「デザイン推進室」を設立。2022年にはVP of Designのポジションも新設し、組織体制の強化を進めています。

デザイン組織が形成される過程では、「BtoBサービスでは、利便性があればデザインは手を抜いても問題ない」という意識が社内に残っていることが明らかになりました。

そこでセルフブランディングを通じてデザイナーを積極的に採用し、ブランド構築やイノベーションを行えるデザイン組織づくりに取り組んでいます。

パナソニック株式会社|縦割り組織から脱却して全社横断のデザイン組織へ

パナソニック株式会社のデザイン組織づくり

立ち上げの背景

事業会社ごとの縦割り組織でデザイナーが分散し、意見がまとまりにくい状況だった

立ち上げの取り組み

2019年にグループ横断の「デザイン本部」を設立し、家電デザイン組織を集約した「Panasonic Design Kyoto」を設立

デザイン組織の拡大

各事業の戦略や商品企画にデザインの視点を取り入れる体制を構築

日本を代表する総合電機メーカーであるパナソニック株式会社は、2017年から全社的なデザイン組織体制の刷新に取り組んできました。

2019年にはグループ全体のデザイン部門を管轄する「デザイン本部」を、2023年にはその傘下に「トランスフォーメーションデザインセンター」を設立しています。

従来、複数の事業会社による縦割り組織にデザイナーが点在しており、デザイナーの意見が集約されにくい点が課題でした。そこで、デザイナーを中心とした組織づくりに舵を切ったのです。

議論を重ねるなか、家電デザイン組織を集めた拠点である「Panasonic Design Kyoto」と、グループ横断の「デザイン本部」の立ち上げに至りました。

その結果、機能をアドオンしていく商品企画の考えから脱却し、デザインが求められる背景やプロダクトそのものの意味を掘り下げ、ブランドのあるべき姿を各事業へと落とし込むプロセスを実践する体制を整えています。

富士フイルム株式会社|50年かけて進化したデザインセンター

富士フイルム株式会社のデザイン組織づくり

立ち上げの背景

事業部ごとにデザイナーが分散していたが、メンバー増加に伴いデザイナーを集約した組織の必要性が高まった

立ち上げの取り組み

約50年前に前身となる「工業デザイン室」を設立。その後「工業デザインセンター」を経て、多様なデザイナーが集まる「デザインセンター」へ発展

デザイン組織の拡大

2017年に独立型デザインスタジオ「CLAY」を設立し、事業部のブランディングや仕組みのデザインなど幅広い領域を担う体制へ拡大

写真フィルムで培った技術を活かし、ヘルスケアをはじめとする多様な領域で事業を展開する富士フイルム株式会社は、約50年前に現在のデザイン組織の前身となる「工業デザイン室」を設立しました。

当初、事業部ごとにデザイナーが所属していましたが、メンバー増加に伴い集約した組織が求められていました。

その後、さらなるメンバー拡大によって「工業デザインセンター」が設立され、さまざまな職種のデザイナーが集まった「デザインセンター」へと進展しています。

2017年には「CLAY(クレイ)」と呼ばれる独立型のデザインスタジオが設置され、さまざまな事業部のブランディングや仕組みのデザインに取り組んでいます。

また、デザイナーが主導となり革新的プロジェクトを推進し、五感を使って離れた人とリアルでつながる異次元のコラボレーション開発など、新規事業を創出する体制も構築しました。

企業がデザイン組織をつくるときのポイント

デザイン組織は、企業の成長や事業戦略に合わせて段階的に構築していくものです。ここでは、デザイン組織づくりに取り組む企業が知っておきたい3つのポイントをご紹介します。

【企業がデザイン組織をつくるときのポイント】

・まずは少人数のチーム体制からスタートする
・デザイン組織が関わる範囲を明確にする
・デザイン組織で活躍できる人材を採用する

まずは少人数のチーム体制からスタートする

1つ目は、少人数のチーム体制からスタートすることです。デザイン組織と聞くと、数十名規模の組織をイメージするかもしれません。

しかし、最初から大規模な体制を整える必要はなく、数名のチームからスモールスタートしたほうが柔軟な対応ができます。

まずは小規模なチームでデザインの価値を生み出し、社内で存在感を高めていきます。デザイン組織の成果が見えはじめた段階で、徐々に組織規模を拡大していくことが大切です。

また、デザイン組織を全社的な取り組みへと転換するには、周りを巻き込む力も必要です。積極的に社内コミュニケーションを図り、デザインの価値や成果を共有しましょう。

デザイン組織が関わる範囲を明確にする

2つ目は、デザイン組織が関わる範囲を明確にすることです。デザイナーは企業のプロジェクトや事業に対して、プロダクト開発の上流から関わることも可能です。

しかし、どの範囲まで関与するのかを明確にしておかなければ、デザイン組織の価値を十分に発揮できない可能性があります。

たとえば、デザイン組織が担う領域を「プロダクト」「コンテンツ」「マーケティング」などに分類する方法があります。

【デザイン組織が関与する領域の例】

・プロダクト領域…アプリケーションのデザイン
・コンテンツ領域…ブランド広告のデザイン
・マーケティング領域…ランディングページやSNSのデザイン

デザイナーも職域を超えたチャレンジは必要ですが、企業全体でデザインに関する知識を深め「デザイン組織をどのように活用していくのか」をまず決めることが重要です。

デザイン組織で活躍できる人材を採用する

3つ目は、デザイン組織で活躍できる人材を採用することです。

デザイン組織づくりでは自社のカルチャーや事業の方向性を踏まえて、バリューを発揮する人材を採用することが大切です。そのためには、採用目的や要件をしっかり言語化しておきましょう。

また、デザイン組織を本格的に構築していく段階では、組織づくりやマネジメントの経験を持つ人材が求められます。

そのため、自社のデザイン組織でどのようなスキルや役割を持つ人材に活躍してほしいのかを明確にすることも不可欠です。

デザイン組織づくりの第一歩は「人材戦略」から始める

デザイン組織のつくりかたを整理するには、7Sフレームワークを活用した分析が効果的です。

組織構造やシステムといったハード面ではなく、まずは価値観や人材などのソフト面から取り組むことで、新しい考え方やデザインの価値が組織全体に浸透しやすくなります。

7Sのなかでも特に重要となるのが人材です。デザイン組織づくりでは、デザイナーの採用や育成を計画的に進める必要があります。しかし、自社のカルチャーや事業に適した人材を見つけることは容易ではありません。

デザイナー採用に不安がある場合には、デザイナー採用に特化した採用プラットフォーム「ReDesignerをご活用ください。

デザイナー採用の不安や課題に寄り添いながら採用までを一貫してご支援するため、採用活動の不安も軽減できます。

【ReDesignerの強み】

・デザイナー特化型サービスのため、デザイン組織づくりの「現在地」を知り、採用課題を改善しながら採用基準に反映できる
・自社の求めるデザイナーの要件定義から求人票の作成まで伴走支援ができる
・約1.2万人(2024年3月時点)のデザイナーが登録しており年々登録者が増加している

ReDesignerのご利用企業様からは多くの感謝の声が届き、「デザイン組織づくりを加速するために欠かせないサービス」というお言葉もいただいております。

「デザイナーの採用基準を作成したいが具体的な方法に悩んでいる」という方は、まずはお気軽にご相談ください。

デザイン組織に関するよくある質問

最後に、デザイン組織のつくりかたに関するQ&Aをまとめました。

Q.デザイン組織をつくるべきか迷っています。デザイン組織を持つ企業は増えていますか?

デザイン組織をもつ企業は増加傾向にあります。

ReDesigner Design Data Book 2024」では、デザイン組織への投資によって、プロダクトの品質から売上増大まで、さまざまな側面でデザインの投資効果を実感している状況が明らかになりました。

デザイン組織を設置することで、プロダクトの品質向上や売上拡大など企業によって好影響を及ぼしています。

Q.デザイン組織を持つとデザイナー向けの評価制度が必要になりますか?

デザイン組織では、デザイナー向け評価制度の構築が推奨されます。

デザイナーはアサインされるプロジェクトや業務領域によって、任せられる分野や求められるスキルが大きく異なります。また、ジュニアデザイナーかシニアデザイナーかなど、経験値も人によって異なるため、同じ基準で結果を測ることはできません。

ReDesigner Design Data Book 2024」では、50名以上のデザイン組織の約7割が、デザイナー独自の評価システムを導入していることがわかっています。

デザイン組織の立ち上げ、拡大とともに、デザイナーの活躍を適切に評価できる体制づくりも必要になるでしょう。

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