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デザイン組織とは?必要性や種類、構築事例・AI時代の組織体制などを解説 

現代のビジネスにおいて、デザイン組織は単なる制作部門ではなく、事業成長と企業価値を最大化させるための「戦略的パートナー」です。

機能だけでは差別化が困難な今、デザイナーが経営や戦略設計などの上流工程から参画し、ユーザー視点とビジネス観点を融合させることが、競合優位性を築く鍵となります。

本記事では、ReDesigner(リデザイナー)が定義するデザイン組織の3つの役割や最新の組織モデル、さらに生成AIが普及した2026年現在の最新トレンドまでを網羅して解説します。

先進企業の事例とともに、優秀なデザイナーに選ばれ、持続的に成長し続ける組織づくりの秘訣を紹介するので、ぜひ参考にしてください。

デザイン組織とは

デザイン組織とは、単にデザイナーを集めた部署ではありません。多くの企業では「デザインの力で事業成長と企業価値の最大化を実現する有機的なチーム」と定義されています。

具体的には、デザイナーが経営・ビジネス・開発の境界を越えて、戦略立案や課題定義などの上流工程から参画する組織です。

従来、ビジネスとデザインは主従関係にあると捉えることが一般的でした。デザインが従となり、ビジネスの方向性に従う関係性です。

この体制では、デザイナーは主に制作フェーズなど下流工程で関わり、すでに決定された戦略や要件を「形にする」役割を担っていました。

上流工程からの参画によって、ビジネス側が提示する課題に対して、デザイナーはユーザー視点や体験設計の観点から、新たな問いや解決策を提案できます。

ビジネス側はデザイナーの提案を受けて戦略を再考し、さらにそれを受けてデザインは進化していきます。

この振り子のような相互作用によって、単なる「見た目の改善」にとどまらず、ビジネスモデルやサービスの根幹に関わる価値創造が可能です。

デザイン組織は事業成長や企業価値の最大化など、ビジネスに直接的なインパクトを与える存在なのです。

デザイン組織の必要性

デザイン組織は、個人のスキルに依存せず、組織単位で広い領域をカバーするために必要です。なぜなら、ビジネスにおいてデザインが担う領域が急速に拡張し、デザイナーの役割が細分化しているためです。

かつてデザインは「見た目を整えること」と捉えられてきました。しかし今日では、デザインは「あらゆる顧客体験(CX)に一貫性を持たせ、企業のブランド価値を生み出すもの」と捉えられています。

このように、上流工程からデザインの力を発揮するには、制作業務レベルではなく経営課題として取り組む必要があります。

2018年の経済産業省・特許庁による「『デザイン経営』宣言」の発表以来、デザインを経営資源として活用するニーズは高まる一方です。

実際に、株式会社SBI証券では、2018年にUXデザイン室を設立し、ゼロからデザイン組織を構築しています。

また、株式会社アドウェイズのように、留職の形で他社のデザイン組織に人材を送り込み、実践的なナレッジを習得しながらCDO/CXO(デザインの最高責任者)の育成に取り組んだ事例もあります。

このように、拡張していくデザイン領域を個人のスキルだけでカバーするのではなく、組織として体系的に取り組むことで、企業の競争力を高めることができるのです。

デザイン組織の3つの役割

デザイン組織には主に3つの役割があります。以下でそれぞれの役割について解説します。

【デザイン組織の3つの役割】

  1. 経営と直結する戦略パートナーとしての役割

  2. デザイン思考を浸透させ、デザイン経営を実践する役割

  3. プロダクト開発を加速させる役割

1. 経営と直結する戦略パートナーとしての役割

1つ目は、単なる制作実務にとどまらず、経営の意思決定に深く関与する戦略パートナーとしての役割です。

前述のとおり、現代においてデザインは経営直結の課題となっています。

戦略パートナーとして適切に機能しているデザイン組織は、新規事業のコンセプト設計や初期の市場調査など、上流工程の種を作る段階から参画しています。

ここで重要なのは、デザイナーが経営や財務の知識を習得することです。共通言語(数字や事業成長のロジック)を身につけることで、初めてCFOや事業責任者と対等な議論が可能になり、デザインの投資対効果(ROI)を経営視点で証明できるようになるからです。

とはいえ、こうした高度な組織構築は一朝一夕には実現できません。多くの先進企業では試行錯誤を重ね、ReDesignerのような外部の専門機関の協力を得て、少しずつ戦略パートナーとしての機能を確立しているのが実情です。

2. デザイン思考を浸透させ、デザイン経営を実践する役割

2つ目は、デザイン経営の思想を単なるスローガンに終わらせず、実務レベルの「文化」として社内に浸透させる役割です。

組織変革では、組織図や評価制度などの「ハード面」をいきなり刷新しようとすると、既存事業との摩擦や現場の混乱を招きがちです。

そこで、まずは価値観、経営スタイル、人材、個人のスキルなどの「ソフト面」からのアプローチが有効となります。

「ソフト面」が変わることで現場の行動が変わります。ソフト面の変化による成果が積み重なると、最終的に組織構造やシステムなどの「ハード面」の変革を支える土台が作られます。

デザイン組織によって、デザイン経営の考え方が一部署のスキルから、全社的な業務プロセスへと織り込まれていくのです。

3. プロダクト開発を加速させる役割

経営の戦略パートナーとしてデザインを機能させるためには、まずプロダクト開発の現場にデザインを浸透させることが不可欠なステップです。

デザイナーはエンジニアやビジネスサイドと共通言語を持ち、「デザインシステム(※1)」や「サービスブループリント(※2)」といった設計資産を活用します。

設計資産を活用すれば、チームが分散していても一貫したユーザー体験を保ちながら、自律的に開発を進められる土台が築かれるのです。

また、共通言語やフレームワークの構築を通じて、デザイナーだけでなくプロダクトマネージャー、ビジネスサイド、エンジニアを横断するコミュニケーションの質が向上します。

職種間の垣根が徐々になくなり、デザイナーが積極的に情報収集や議論に参加し、ビジネス・エンジニアリング視点とも円滑に連携できる状態が理想です。

現場での着実な実績の積み重ねこそが、やがて経営戦略レベルでデザイン経営を実践するための基盤となります。

※1:デザイン原則やUIコンポーネントなどで構成された「良いデザインを実現するための包括的な仕組み」のこと
出典:デザインシステムとは?作り方を5ステップで解説!事例や導入メリットも<Figma公開中>|Goodpatch Blog

※2:サービスに携わるユーザーやステークホルダー(サービス運営に携わる関係者)がサービスのタッチポイントにおいて相互に関係するかを明確にした図のこと
出典:サービスリニューアルする際、チームでユーザー体験を向上させるためのサービスブループリント|Goodpatch Blog

デザイン組織の代表的な組織モデル

デザイン組織を構築する際、まず直面するのが「デザイナーをどこに、どのように配置するべきか」という問題です。組織のフェーズや事業の特性に合わせて、主に3つのモデルが検討されます。

モデル

特徴

メリット

デメリット

中央集権型

デザイン部など専門部署にデザイナーを集約

・デザイン品質の維持・向上
・ナレッジ共有の活発化
・教育体制の構築

・事業部との距離感
・開発スピードの低下リスク

分散型

各事業部やプロダクトチームにデザイナーを直接配属

・開発スピード向上
・ビジネスへの深い理解
・強い当事者意識

・デザイナーの孤立
・デザイン品質のばらつき
・客観的評価の困難さ

マトリクス型

事業部に所属しつつ、職能別の横のつながりも持つ

・専門性とスピードの両立
・品質の横串管理

・指揮系統の複雑化
・評価制度の運用難易度が高い
・組織としての習熟が必須

中央集権型(機能別組織)

中央集権型(機能別組織)は、「デザイン部」や「クリエイティブ室」と呼ばれる専門部署にすべてのデザイナーを集約するモデルです。デザインの品質管理を一括して行い、プロジェクトごとにデザイナーをアサインします。

このモデルの利点は、デザインの品質を高い水準で一貫して保てることにあります。デザイナー同士が物理的・心理的に近いため、最新の技術やナレッジの共有が自然に行われ、若手デザイナーへの教育体制も整いやすいのが特徴です。

一方で、事業部との距離が遠くなりがちで、連携に時間がかかり、スピード感が損なわれるデメリットもあります。

分散型(事業部埋め込み型)

分散型(事業部埋め込み型)は、デザイナーを専門部署にまとめず、各プロダクトチームや事業部に直接配属させるタイプです。デザイナーは「デザインチームの一員」でありながら「プロジェクトチームの一員」として活動します。

このモデルの強みは、スピード感と強い当事者意識です。エンジニアやディレクターと同じ目標(KPI)を追いかけるため、ビジネスの文脈を汲み取った提案が生まれやすくなります。

しかし、このモデルにはデザイナーの孤立の懸念もあります。周囲に同職種がいない環境では客観的なスキル評価が難しく、孤独感から離職につながるケースも少なくありません。また、プロダクトごとにデザインのばらつきが生じやすいのも難点です。

マトリクス型

マトリクス型は、中央集権型・分散型の両方のメリットを融合させ、専門性とスピードの両立を目指すタイプです。

デザイナーは特定の事業部に所属しながらも、横軸で「デザインギルド(事業部内で同じようなスキルを持つデザイナー同士のつながり)」や「チャプター(事業部・職種を超えて同じようなスキル・関心を持つ人のつながり)」という専門家コミュニティにもつながっている状態を指します。

Spotifyの組織モデルとしても有名で、大規模なプロダクト開発では理想的な形式だとされています。事業のスピードを落とさず、かつデザインの品質にも横串を通すことができるからです。

ただし、デザイナーにとっては「事業部の上司」と「デザイン部門の上司」の二人が存在するなど、指揮系統や評価軸の運用難易度は非常に高く、組織としての成熟度が求められるモデルといえます。

【重要】組織図は「目的」ではなく「手段」

ここまで3つの組織モデルを紹介しました。重要なのは、どのモデルを選ぶかの議論に終始しないことです。

マネジメントに万能な正解はありません。組織の状態や個人のフェーズに合わせて、最適な手法を使い分ける選択肢の多さが求められます。

組織図という「構造」を変えること自体を目的にするのではなく、事業とメンバーの成長を最大化するための「手段」として、その時々に最適な形を選び続ける柔軟性を持ちましょう。

同時に、「かっこいい部署名」や「流行りの組織図」を作ることよりも、実態としてメンバーがポジティブに成果を出せているかも注視する必要があります。組織図はあくまで現状の最適解を表現した状態に過ぎません。

常に変化し続けるものである前提に立つことが、健全なデザイン組織構築の第一歩です。

2026年のデザイン組織の最新トレンド

デザイン組織のモデルは時代とともに変化し続けています。2026年以降、生成AIの躍進によって、デザイナーの役割が「手作業の制作」から上流の「意思決定と設計」へとシフトし、組織のあり方そのものが問われるようになりました。

生成AIが「一見それらしいデザイン」を瞬時に生成できる現代に、重要視されるのはAIの出力を判断する力です。感性や倫理、社会的影響を踏まえた方向づけ・批評・牽引する力など、人間にしかできない高度な能力が欠かせません。

これに伴い、デザイン組織には生成AIで効率化したリソースを、ビジネスやUX向上の戦略領域へ投下できる柔軟な構造が求められています。

いかに上流工程の議論へデザイナーを巻き込めるか、つまり「組織的な関わり方」の再設計こそが、これからデザイン組織を構築するうえでの大きな課題となるでしょう。

デザイナーはデザイン組織がある企業に入社したい傾向が強い

多くのデザイナーが、デザイン組織がある企業に入社したいと思っているのが最近の傾向です。

ReDesigner DesignDataBook 2024」の調査では、デザイナーが企業を選ぶうえで重視するポイントとして「チームや組織、社内制度が整っている」ことが上位に挙げられています。

特にジュニア層では14%がこの項目を重視しており、これは「自身の興味のある分野(38%)」、「自身の学習や成長機会(20%)」に次いで3番目に高い割合です。

経験の浅いデザイナーほど、独力で成果を出すことへの不安や自己成長の欲求を強く持っています。

そのため、「デザイン組織として確立されており、教育やフォローの体制があるか」を入社の判断材料として重要視する傾向にあります。

デザイナーの採用競争力を高め、継続的に優秀な人材を獲得・定着させていくためには、企業は単にデザイナーを採用するだけでなく、彼らが活躍できる基盤としての「デザイン組織」を構築・整備することが有効です。

デザイン組織への投資は、結果として企業の採用力を底上げし、事業成長を加速させるための重要な一手となるでしょう。

デザイン組織の作り方

デザイン組織の構築には、組織要素を7つに分類する「7Sフレームワーク」が有効です。特にハードルが高い組織構造の変革に着手する前に、まずは「人材(Staff)」へのアプローチから始めることが大切です。

現状の課題整理から戦略策定、ペルソナ設計、現場主導の面接、オンボーディングまでを一貫して設計することで、ミスマッチを防ぎ、強いデザイン組織の土台を作ることができます。

デザイン組織構築の成功事例3選

ここからは、デザイン組織構築に成功している3社の事例を紹介します。

それぞれ自社のビジネスモデルに対して、ユニークなアプローチでデザインと経営が交差するよう工夫しています。自社でデザイン組織を構築するアイデアの種になれば幸いです。

事例1:株式会社ディー・エヌ・エー|フェーズに合わせて形態を変える「ハイブリッド型」組織

株式会社ディー・エヌ・エー(DeNA)では、デザイン組織を数名程度から約100名規模に拡大した事例があります。成功の要因は、「事業部への深いコミット」と「職能組織による横のつながり」の両立にあります。

同社はデザイナーを単なる制作担当ではなく、事業をリードする存在だと定義しました。各事業部にデザイナーを配置して意思決定の最前線に立たせる一方、デザイン本部がメンター・チューター制度やナレッジ共有の場を設けることで、個人のスキル向上と孤立防止を徹底しています。

また、新卒育成や「UI Crunch」などのコミュニティ運営を通じて、中長期的な視点でデザインの価値を社会に発信し、優秀な人材が自走し続けられる環境を構築している点が強みです。

▼事例は下記の記事で詳しく解説しています
事業をリードするデザイナーの育成を。DeNAのデザイン組織拡大の背景とデザイナーの価値とは 

事例2:株式会社LayerX|デザインを組織全体の武器とする戦略

株式会社LayerXは「デザイン・イネーブルメント」でデザインの組織実装に取り組んでいます。

同社では、デザイナーが制作を完結させるのではなく、非デザイナーを含めた組織全体にデザイン視点をインストールする方針を掲げました。この取り組みによって、事業成長に伴う開発スピードを維持しながら、プロダクトの一貫性と体験品質を担保しています。

特徴的なのは、機能的な合理性だけでなく、ユーザーの心の琴線に触れる「+wow」や「愛」という情緒的価値をバリューに掲げている点です。

デザイナー自身が職種の枠を超えてフロントエンドやマーケティング領域まで越境し、徹底したユーザーファーストの姿勢で、機能性とワクワク感を両立するプロダクトづくりを牽引しています。

▼事例は下記の記事で詳しく解説しています
「デザイン・イネーブルメント」でデザインの組織実装を目指す。LayerXだからこその挑戦

事例3:株式会社ゆめみ|1社で何度も転職するような成長ができる組織

株式会社ゆめみは「アウトソーシングの時代を終わらせる」を掲げ、顧客の内製化支援に注力するデザイン組織です。

組織の特徴は、全員がデザインを実践・活用できる状態を目指す「デザイン・イネーブルメント」の理念と、自律的な挑戦を促す「デザイン自給自足」の文化です。

入社1年目のデザイナーが社内コンペを通じて「デザインシステム構築・内製化サービス」を立ち上げ、ゼロからの事業化を主導した事例もあります。

案件参画は、自身の意志で選ぶ「挙手制」と、成長を見据えて上長が選定する「スキルマッチ制」を併用しています。

多様な案件を通じ「1社で何度も転職するような経験」ができる、変化に富んだ成長環境を構築しています。

▼事例は下記の記事で詳しく解説しています
キャリアの挑戦に、限界を作らない。活躍の幅を広げ続けられるゆめみのデザイン組織

▼デザイン経営の成功事例も下記でまとめて紹介しているので、ぜひご覧ください

【2026年最新】デザイン経営の成功事例13選|事例から学ぶデザイン経営成功のコツ

デザイン組織の成功には自社に合う人材が不可欠

世の中にウェブサービスやアプリが溢れ、機能だけで他社との差別化を図ることが困難な現代において、事業成長の鍵を握るのは「体験設計(UX)」と「ブランディング」です。

ユーザーにどのような価値を届け、どう記憶に残るかの一貫したストーリーを描く力がこれまで以上に求められています。

このような背景から、現在多くの企業で、優れたUIによって価値を具体化する力はもちろんのこと、下記のようなデザイナーの採用重要度が高まっています。

  • サービス全体を俯瞰して設計できる「UXデザイナー」や「サービスデザイナー」

  • 企業の思想やブランドの想いを顧客に正しく届ける「コミュニケーションデザイナー」

しかし、高い専門性を持つこれらの人材のなかから、自社のカルチャーや事業フェーズに真にフィットする人材を見つけ出すのは容易ではありません。

デザイン業界に特化し、デザイナーのスキルセットと志向性を深く理解しているReDesignerは、企業様の求めるデザイナー像を明確にしたうえで採用に伴走いたします。

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