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デザイナー評価制度の重要性と今から作成するための4つのステップ

デザイナーを採用するなかで「デザイナー向けの評価制度があったほうがいいのでは?」と悩むケースがあります。

デザイナーの専門性は一般職と同じ指標では評価しにくく、デザイナーの不満や離職につながる可能性があるからです。

実際にデザイナー独自の評価制度を導入する企業は増えており、下記のようなステップで独自の評価制度を作成しています。

【デザイナーの評価制度を作成する4つのステップ】

・ステップ1:デザイナーのスキルを洗い出す
・ステップ2:デザイナーへの期待値を明確にする
・ステップ3:社内ですり合わせをする
・ステップ4:評価制度の運用、改善を続ける

デザイナーを適切に評価できる環境は、デザイナーから選ばれる企業になる1つの条件でもあるので、評価制度の設定や見直しを検討してみましょう。

本記事では、デザイナーの評価制度の作り方から運用の注意点までをまとめて解説します。自社に合う評価制度を設定するためにも、参考にしてください。

デザイナーの評価制度を設ける企業が増加している

近年、デザイナー独自の評価制度を導入する企業が増えています。

ReDesigner(リデザイナー)が100社を対象に調査した「ReDesigner Design Data Book 2024」では、デザイナー専用の評価基準を設けている企業は、全体の45%にのぼることがわかりました。

その背景にあるのは、デザインの役割が「見た目を整えること」から「事業の課題解決」へと広がったことです。

一方で、所属事業部やエンジニアと同じ評価基準を採用している企業も多く、デザイナーの専門的なスキルや貢献度を正しく測れていないケースも多くあります。

現場が納得できる基準を構築し、形骸化させずに運用できれば、既存社員の離職防止につながります。また、採用においても「キャリアを正当に評価してくれる企業」というアピールポイントとなるでしょう。

デザイナーの評価制度は個人・チーム単位でオーダーメイドで作成する

デザイナーの評価制度を構築する際は、個人やチーム単位での柔軟な設計が重要です。

デザイナーはアサインされるプロジェクトや業務領域によって、任せられる分野や求められるスキルが大きく異なります

また、ジュニアデザイナーかシニアデザイナーかなど、経験値も人によって異なるため、同じ基準で成果を測ることはできません。

1つの基準に当てはめて測ろうとすると正当な評価が難しくなり、結果的にデザイナーの不安や離職につながるでしょう。

組織として「このような方向性でデザイナーを評価する」という共通の指針は必要ですが、基本的にはアサインされるプロジェクトや個人のスキル、目標に応じた評価項目を設けるのがよいでしょう。

デザイナーの評価制度は現状から期待値を丁寧に言語化することがポイント

デザイナーの評価制度を作成する前に知っておきたいポイントは、現状から期待値を丁寧に言語化することです。

評価者とデザイナーの間で評価に関する認識を合わせるためには、「今の状態がどのようになることを期待しているのか」を可能な限り言語化する必要があります。

たとえば「3ヶ月以内にかっこいいデザインを10個作る」と目標を設定した場合、人によって「かっこいい」の定義は異なります。

「かっこいい」という曖昧な定義のままでは、何をすれば評価が上がるのか不透明なままです。このような曖昧さを残すと、だれが評価しても同じ結果になる仕組みを作ることは難しいでしょう。

だからこそ「かっこいいデザインをする」「成果を残す」などの曖昧な評価制度にするのではなく、現状と期待値を明確にして、どこを評価するのか言語化する必要があるのです。

項目

概要/例

現状

デザイナーの現状のスキル・課題はどこにあるか
例:プロジェクトにアサインされてはいるものの積極的に価値提供ができていない

期待値

デザイナーにどうなってほしいか例:3ヶ月以内にプロジェクトで3つの提案をして周囲を巻き込み価値提供をする

デザイナーは評価軸がぶれやすい職種だからこそ、現状のスキルと求める役割を丁寧に深掘りして、軸を作ることが大切です。

デザイナーの評価制度を作成する4つのステップ

デザイナーの評価制度を構築する際、何から手をつければよいのか迷う担当者は少なくありません。正しい手順を踏めば、現場の納得感が高い制度をスムーズに設計できます。

ここでは、デザイナーの評価制度を作成するための4つのステップを解説します。

【デザイナーの評価制度を作成する4つのステップ】

・ステップ1:デザイナーのスキルを洗い出す
・ステップ2:デザイナーへの期待値を明確にする
・ステップ3:社内ですり合わせをする
・ステップ4:評価制度の運用、改善を続ける

ステップ1:デザイナーのスキルを洗い出す

まずは、自社のデザイナーの持つスキルを洗い出しましょう。

デザイナーは、UX/UIやグラフィックなどの職種や経験、携わってきたプロジェクトなどでスキルが大きく異なります。

特定のスキルや態度を評価すると、偏った評価制度になってしまう可能性があるでしょう。

だからこそ、デザイナーごとに事前に下記のようなスキルを明確にして「このデザイナーはどのスキルを評価するべきか」を判断します。

洗い出すスキルの例

概要

デザインスキル

・イラスト
・UIデザイン
・プロトタイプ
・アートディレクション
・ビジュアルデザイン
・グラフィックデザイン
・DTP

リサーチスキル

・インタビュー
・定量調査
・ユーザビリティテスト
・情報の構造設計

マネジメント

・採用
・人材育成
・組織設計
・予算管理
・事業戦略
・組織戦略
・業務改善

ソフトスキル

・ファシリテーション
・タイムマネジメント
・問題解決
・プレゼンテーション
・ドキュメンテーション
・ネゴシエーション
・分析

たとえば、デザイナー採用に特化した採用プラットフォーム「ReDesigner」では、デザイナーの現在のレベルと今後挑戦したい領域を下記のように可視化しています。

社内で上記のようなスキルマップ、職務記述書を作成して、どのようなスキルを評価するべきか判断するのもいいでしょう。定期的にスキルマップや職務記述書を更新すると、デザイナーのスキルアップの軌跡が把握できます。

このように、デザイナー一人ひとりの現状と今後持ちたいスキルを把握することで、曖昧な評価を避けられるようになります。

ステップ2:デザイナーへの期待値を明確にする

デザイナーのスキルの洗い出しができたら、期待値を明確にしましょう。

デザイナーと関わる周辺職種の人や人事担当者などが関わり「デザイナーに何を期待しているのか」「どのような役割をして欲しいのか」を組織全体ですり合わせます。

評価者の好みや感覚に左右されないよう、定量評価と定性評価の両面から評価基準を深掘りしましょう。

たとえば、ゲームやライブコマースなど幅広い事業を手掛けている株式会社ディー・エヌ・エーでは、デザイナー共通のスキルセットで括った採用基準ではなく、事業部内での裁量を重視してデザイナーの期待値を明確にしています。

項目

期待値の例

対象者

各ラインのプロジェクトマネージャー・プランナー/事業責任者(小規模)

スコープ

 プロダクト(機能:大〜全体)

期待する役割

・プロダクト機能を自身のコントロール下で推進できる

期待する成果

・施策の結果を振り返り、ネクストアクションにつなげる
・スコープ範囲のQCDの責任を任され、リードできる
・デザイン組織戦略を立案して実行できる
・抽象度の高い課題を解決できる
・戦略において重要度の高い課題を見つけて、解決できる
・上記のロールを任せることができる人材になっている

参考:Cocoda「事業に貢献するデザイナーへの方向性を示す― DeNA プロダクトデザイナーの評価について」

このときに「デザイナーの評価制度は現状から期待値を丁寧に言語化することがポイント」で触れたように、できる限り丁寧に言語化することを意識してください。

「自社らしいデザインを制作する」「デザイナーの存在感を出す」など曖昧な状態で片付けず、「自社らしいデザインとは?」「存在感のあるデザイナーとは?」など、1つずつ言語化する作業を繰り返しましょう。

ここでは、あわせて新卒採用とキャリア採用での期待値調整のポイントをご紹介します。

【新卒採用の場合】ポテンシャルを評価する

新卒の場合は、現時点での能力よりもポテンシャルを軸に期待値を言語化しましょう。

具体的には、下記のように成長のプロセスに焦点を当てます。

  • 入社後にどのスキルをどれくらい伸ばしたか

  • 課題に対してどれだけ前向きに取り組んだか

また、評価者は「今後、このような成長を期待している」と目標をあらかじめ明確に伝え、その期待値に対する達成度を評価に反映させることも検討できます。

実績で測ることが難しい若手層だからこそ、本人の意欲や伸びしろを正当に評価する姿勢を示しましょう。

【キャリア採用の場合】貢献度や影響力を評価する

キャリア採用では、即戦力として「価値創出や成果にどのくらい貢献したか」という期待値を言語化します。

新卒採用とは異なり、下記のように企業の期待に対する成果を評価対象にしてもいいでしょう。

  • プロジェクトの成功にどのくらい寄与したか

  • プロジェクトでの思考や過程

  • チーム全体の底上げにどう貢献したか

高いスキルを持つ人材だからこそ、期待される役割をあらかじめ明確に提示し、その貢献度に対する正当な評価が重要です。

社内へのポジティブな影響をデザイナー本人へ適切に還元する仕組みが、優秀なデザイナーの育成や満足度の向上に直結します。

ステップ3:社内ですり合わせをする

ある程度デザイナーの評価制度が固まったら、社内評価制度のすり合わせをします。一部のメンバーだけで完結させてしまうと、社内で認識齟齬が生じ、平等性に欠ける恐れがあるからです。

たとえば、デザイナーにはヒアリングやアンケートを実施して、リアルな意見を反映して作成するといいでしょう。100%の合意を得るのは困難ですが、社内で決めた内容であれば、ある程度の納得感は得られるものです。

運用開始前に懸念点を解消すれば、スムーズな導入と信頼関係の構築につながります。

ステップ4:評価制度の運用、改善を続ける

評価制度は一度完成させて終わりではなく、継続的にブラッシュアップをしましょう。

運用中には、現場のデザイナーから「この基準では実態と乖離がある」「この項目が評価に反映されにくい」といったフィードバックが出てくることもあるでしょう。

この声を真摯に汲み取り、環境の変化や組織の成長に合わせて制度を改善し続けましょう。

「今期からこの基準で」といきなりシフトチェンジするのではなく、旧式から新しい制度への移行期間を設けるのがおすすめです。

デザイナーの評価制度の成功事例

他社のデザイナーの評価基準を知ることは、制度を設計するうえで有益なヒントになります。ここでは、実際にデザイナー独自の評価制度を導入している事例を紹介します。

各社の評価軸やフィードバックの仕組みを、自社の制度基盤の作成に活用してみてください。

企業名

評価制度の概要

株式会社マネーフォワード

・全社共通の評価制度として「MFグロースシステム」を運用している

・プロジェクトの難易度やリード度合いも明記されており、キャリアアップの目安として活用できる

株式会社SmartHR

・「ミッション達成度」と、行動を測る「バリュー評価」の2軸を使った評価制度を運用している

・3ヶ月ごとに中間フィードバックを実施して認識の乖離を防ぐ

株式会社マネーフォワード

プラットフォームサービス事業を展開する「株式会社マネーフォワード」は、国内企業でも稀有なほど充実したデザイン組織を持つ企業です。

株式会社マネーフォワードでは全社共通の評価制度として「MFグロースシステム」を運用しています。

【MFグロースシステムとは】

一人ひとりのパフォーマンスに応じて、昇給や賞与が付与される人事制度。職種や役割、本人のキャリア志向に応じて7段階の等級を設定している。

従業員の成長を支援するために評価があると考えており、半年に1度、7つの行動指針のなかから目標を定めて評価していく。各等級には期待される役割や評価基準が明文化されており、給与レンジに反映される。

MFグロースシステムではプロジェクトの難易度やリード度合いも明記しており、デザイナーにとってはキャリアアップの目安にもなっています。

等級の上位にあたる「グレード5」以上はマネジメントに関する項目もあり、マネジメント研修が用意されているのも大きな特徴です。

このように、デザイナーの評価制度の基準を明確にして、目標設定などのすり合わせをしっかりと実施することで、デザイナーへの理解不足を原因とする離職数を抑えられています。

株式会社SmartHR

クラウド人事労務ソフトの開発、販売などをしている「株式会社SmartHR」は、デザイン組織を構えている企業です。

株式会社SmartHRでは、成果を測る「ミッション達成度」と、行動を測る「バリュー評価」の2軸を使った評価制度を運用しています。

SmartHRの評価基準

ミッション達成度

成果評価に近く、期初に立てた目標の達成度合いを測る指標

行動評価

ミッションを達成していく過程でどんな行動ができたかを測る指標

特に注目したいのが、3ヶ月ごとに実施される「中間フィードバック」の仕組みです。評価期間の途中でこまめにコミュニケーションの機会を設け、期末になって「期待していた成果と違った」と認識の乖離が起きるのを未然に防いでいます。

さらに、評価の決定権が管理職や人事ではなく本人に近い直属の上長にある点も、納得感につながっているといえるでしょう。

デザイナーの評価制度を作成するときの注意点

評価制度を構築する際、内容の精度を高めるのと同じくらい重要なのが「運用の進め方」です。

ここでは、制度を導入・運用するにあたって特に意識すべき3つのポイントをまとめました。デザイナーの信頼を獲得し、実効性のある仕組みにするための注意点を確認しておきましょう。

【デザイナーの評価制度を作成するときの3つの注意点】

・毎期アップデートをする前提で作成する
・社内デザイナーの同意を得ながら進める
・デザイナーの評価制度を社内に浸透させる

毎期アップデートをする前提で作成する

評価制度は、毎期アップデートする前提で構築しましょう。最初から完璧な仕組みを目指す必要はありません。

デザイン領域は技術の進歩やトレンドの変化が激しく、求められる専門性も常に変化し続けます。そのなかで、評価制度が古いままでは、デザイナーの期待値を正しく評価できません。

また、評価制度は運用してみないと、見えてこない側面もあります。たとえば、事前に設定した定量評価では、十分にデザイナーのスキルを評価できないなどのケースがあるでしょう。

このような場合でも同じ評価制度を使い続けるのではなく、状況に応じて臨機応変にアップデートしていく姿勢が必要です。

社内デザイナーの同意を得ながら進める

評価制度の策定は、社内デザイナーの同意を得ながら進めるのがコツです。評価基準の変更は、デザイナーのキャリアや待遇に直結するため、極めてシビアな問題です。

企業側が一方的に制度を決めてしまうと、現場には「正当に評価されないのではないか」と不安や不信感が広がります。

特に、すでにデザイナーが在籍している組織では、新しい評価制度を押し付けられると、これまでの取り組みを否定されたように感じさせてしまう恐れもあります。

評価制度の目的や評価内容を丁寧に説明したうえで、デザイナーのリアルな意見を反映させるプロセスを大切にしましょう。

評価制度を作る目的は、過去の価値観の排除ではありません。個々に応じて評価を最適化することをしっかりと伝えれば、社内のデザイナーからも賛同を得られやすくなります。

デザイナーの評価制度を社内に浸透させる

評価制度を作成した後は、社内に浸透させる必要があります。評価制度を有効に機能させるためには、評価を「下す側」が内容を正しく理解し、社内での共通認識として捉えることが重要です。

たとえ新しく制度を整えても、人事担当者がそれに沿った評価ができなければ、デザイナーとの間に齟齬が発生します。これは「制度はあるのに正しく評価されない」といった不信感や離職を招く要因となるでしょう。

重要なのは「何を」「なぜ」「どのように」評価するのかを、デザイナーを含む全員が共通言語として持つことです。

事前に評価制度に関するすり合わせをするなどして、足並みを揃えるようにしましょう。

デザイナーの評価制度はデザイナー採用時のアピールポイントとして活用する

デザイナーの評価制度を整えることは、採用市場において強力な武器となります。「自分の専門性を正当に評価してもらえる環境」は、キャリア形成を重視するデザイナーにとって、入社を決める大きな動機となるためです。

しかし、整えた制度をどのように求人票に反映させ、応募者へアピールすべきか、具体的な伝え方に悩む担当者も少なくありません。

デザイナー採用に特化した採用プラットフォーム「ReDesigner」は、400社以上のデザイナー採用を成功に導いてきました。求人票の作成段階から伴走して、企業の求めるデザイナー採用を支援させていただきます。

まだ評価制度が整っていない場合でも、採用要件の定義やスキルマップの作成をともに行うことで、評価制度作りの基盤を固められます。

【ReDesignerの強み】
・デザイナーの業界、スキルを熟知しているからこそマッチ度が高い
・約1.2万人(2024年3月時点)のデザイナーが登録しており年々登録者が増加している
・求人票の作成や評価制度の基盤作りなど、企業のお悩みに対して手厚い伴走が可能

「採用したデザイナーに長く在籍してほしい」「デザイナーのスキルを正当に評価し、よい関係を築きたい」など、デザイナーの採用・評価制度にお困りの際は、お気軽にご相談ください。

デザイナーの評価制度に関するよくある質問

最後に、デザイナーの評価制度に関するよくあるQ&Aをまとめました。

Q.どれくらいの企業がデザイナーの評価制度を設けていますか?

ReDesigner Design Data Book 2024」では、デザイナー独自の評価制度を導入している企業は、2023年から2024年までの1年間で23%から45%に増加したことがわかっています。

この傾向は組織規模が大きくなるほど顕著です。デザイン組織が50名を超えると、7割以上の企業が独自の評価制度を導入しているとのデータもあります。

デザイナー専用の評価制度は、優秀な人材を惹きつけ、組織に定着させるための不可欠な要素となりつつあります。

Q.デザイナーの知識がなくて評価制度の作成が難しいと感じています。どうすればいいですか?

まずはデザイナーに必要なスキルを棚卸しして、採用時の基準を作るところからスタートしてみましょう。

「自社がどのようなデザイナーを求めているのか」を言語化すれば、評価すべき項目の解像度が上がるでしょう。

▼採用基準の作成については、別の記事で詳しく解説しているのでぜひご参照ください
デザイナーの採用基準の4大要素と採用基準を決めるステップを解説


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